日本海低気圧がやってきた
さて、最近てんで更新をサボりがちなこのカテゴリですが、昨日は久方ぶりに血ワキ肉オドル気圧配置だったので更新しようと思ったのでアマリリス。
昨日の全国的に大荒れな天気は、言うまでもなく日本海を通過した発達した低気圧が原因です。典型的な日本海低気圧型の気圧配置ですね。日本海低気圧型のキーワードとしては、
- 日本海側を中心にした荒天
- 前線の通過に伴う風向・気温の急激な変化
- 前線による大雨
- 低気圧通過後の冬型気圧配置
真っ先に思い浮かぶのはこれぐらい。
しかーし、今の季節(春先)に最も警戒しなくてはならない現象があるんですな。それは、、、
何故この春先に日本海側でのフェーン現象を警戒しなければならないのか?答えは簡単。
春先の日本海側は雪が積もってる
↓
フェーン現象で暖かい風が吹く
↓
雪融ける
↓
なだれでアボーン(´・ェ・`)
ということで、アメダスの観測結果からフェーン現象を解析してみようと思います。
…っとその前に、、、フェーン現象って何?という方のために、教員&気象予報士を目指す俺的に分り易く解説してみようと思います。「んなこたぁ知ってるわ( ゚Д゚)ヴォケ!!」という方はどうぞ読み飛ばしてください。
[フェーン現象の説明 ここから]--------------------------------------------------
フェーン現象というのは、一言で言うと"乾燥した高温の風が吹く現象"です。
何故このような風が吹くのか?それにはまず、空気の性質を理解しなければなりません。
簡単に説明するため、空気を以下の2種類に大別します。
・乾燥した空気
・湿った空気
そして、それぞれの空気は以下の性質を持ちます。
乾燥した空気:熱し易く冷め易い
湿った空気:熱しにくく冷めにくい
俺:熱しにくく冷めやすい
…
そして、それぞれの気温の変化率を「乾燥断熱減率」「湿潤断熱減率」と呼び、おおよそ以下の値になります。
乾燥断熱減率…10℃/km
湿潤断熱減率…4℃/km
乾燥した空気は1km上昇すると10℃気温が下がるのに対して、湿った空気は4℃しか気温が下がりません。
さて、ここで「湿った空気」が山の斜面に吹き付けた場面を考えます。
空気は山の斜面に沿って上昇し、断熱膨張を起こして温度を下げ、飽和に達した時点で雲を形成し雨を降らせます。しかし空気は湿っているので冷めにくく温度の下降や緩やかです。そして雲を形成し雨を降らせた空気は、湿度が下がり乾燥します。
次にこの乾燥した空気が山の斜面を下る場面を考えます。
乾燥した空気は「乾燥断熱減率」に沿って温度が変化します。空気は高度が下がると断熱圧縮により温度が上昇しますが、乾燥した空気は湿った空気より温度の変化率が大きいため、少し高度を下げただけで大きく気温が上昇します。
なんて言葉で書いても難しいから、図を書いてみますた。
湿った10℃の空気が1kmの高さの山を通過する場面を図示するとこんな感じ↓
[6℃] 雨/\ 雨/ \ →→_/ \_→→ [湿10℃] [乾16℃]
きたなくてサーセン。。。
お分かりいただけたでしょうか?湿った空気が山を越える段階で水蒸気を振り落とし、乾燥した状態で山を下るため急激に温度が上昇し、風下側で乾燥した高温の風が吹く現象。これがフェーン現象のメカニズムです。
[フェーン現象の説明 ここまで]--------------------------------------------
では、3/5のフェーン現象を解析をします。
まずはこちら、3/5 12時の天気図↓
日本海北部に発達した低気圧がアマリリス。閉塞過程にあるので、最盛期と見てよいでしょう。実際、同時刻の高層天気図では気圧の谷の軸がほぼ直立していたので、これ以上の急激な発達はないと予想できます。
そして同時刻のアメダス気温↓
3/5 12時アメダス気温
能登麻美半島を中心に北陸地方で気温の高い地域があります。なんかフェーン現象っぽいぞ、ということで同時刻のアメダス風向を確認。
3/5 12時アメダス風向
日本海の低気圧に向かって吹き込む南風が卓越しているのが分ります。
これだけではフェーン現象の確信が持てないので、とどめにアメダス降水量を見てみませう。
3/5 12時アメダス降水量
降水域は主に太平洋側から中部地方山岳地帯であって、日本海側に降水はありません。つーまーりーだー、太平洋側から吹き付けた湿った空気が中部山岳地帯を越える際に降水を起こして乾燥し、日本海側にフェーン現象をもたらしたことが見てとれるのでアマリリス。
ふぃー、疲れた。。。という訳でフェーン現象の解説でした。
また面白い現象が発生したら更新しますです、あうあうあう。