trattoriaの無教養お天気講座

どうもこんばんは、trattoriaです。


今日の関東地方はひどい天気でした。今も外はざーざー降り。特に房総半島では一時間に30mm以上強い雨が観測されたところもあります。今回は、今まで気象予報士を目指すために勉強してきた内容と俺自身の今日の体験もまじえて、なぜ関東地方でこれほど強い雨が降ったのかを考察します。…という訳で今晩はオタネタはありません、あしからず(笑。






さて、まず前提として、、、


12/26(火)18時現在、紀伊半島に中心気圧1000hPaの低気圧があります。関東地方の雨はこの低気圧が降らせたものです。しかし、それだけでは関東地方の強い雨は説明できません


一般に低気圧に伴う強い雨寒冷前線の通過時に発生します。しかし、この低気圧からぶら下がっている寒冷前線は日本の遙か南海上に延びており、本州にはかかっていません。26日18時現在の関東地方は低気圧の北東象限に位置し、通常であれば弱い雨がしとしと降る程度であるべきはずです。


ではどーして関東地方で強い雨が降ったのか?


その考察の前に、今日の俺自身の体験をお話します。


26日18時頃、俺は所用のため新宿にいました。天気は雨。手がかじかみ、吐いた息が白くなるほどの寒さでした。ぶるぶる震えながら自宅に帰るべく千葉方面の総武線各駅停車に乗りました。


19時頃、自宅近くの最寄駅到着(千葉県北西部)。天気は強い雨。そして電車から降りた時、俺は強烈な違和感に気付きました。そう、全然寒くないんです。むしろマフラーが暑苦しいぐらい。


一瞬俺は、電車で寒冷前線を追い越したのかなとも思いましたが、低気圧は日本南岸にあったはずなのでその考えは即抹殺。つーかそれ以前に、結構なスピードで東進する寒冷前線をちんたら走る各駅停車の総武線で追い越すのは不可能です。


早速、自宅に帰ってwebで新宿と船橋(千葉県北西部)のアメダス気温を確認しました。その結果が以下です。


[12/26 19時アメダス気温]
新宿…10.0℃
船橋…14.5℃


新宿と船橋は直線距離にしてせいぜい20km。同じ平地にも関わらずたった20km離れただけで気温が5℃も違うのは明らかに異常です。そして、この気温の違いこそが関東地方の大雨に深く関わっていると俺は予想しました。以下、その考察です。






上では新宿と船橋アメダス気温を書きましたが、同時に風向・風速も確認しました。結果は以下の通りです(絵が雑でスイマセン…)。


[12/26 19時アメダス風向]
↓↓↓↓↓↓↓ ←←←←←←←
↓↓↓↓↓↓↓ ←←←←←←←
↓↓■新宿↓↓ ←←船橋←←
↓↓↓↓↓↓↓ ←←←←←←←
↓↓↓↓↓↓↓ ←←←←←←←


新宿では北風、船橋では東風が卓越していました。


これは何を意味するのでしょうか?新宿では冷たい北風、船橋では暖かい東の風が吹いています。船橋の東風は低気圧から吹き込んできた風で太平洋を渡ってきたので湿っています。これを「暖湿気流」といいます。


さて、この暖湿気流は当然のごとく都心に吹いている冷たい北風にぶつかります。しかし全く性質の違うこの二つの気流は混ざり合うことができません。じゃ、ぶつかった逃げ場のない東風の暖湿気流はどこに行くのでしょうか???


その答えは…



















上空に向かうのです。


冷たい北寄りの気流にのし上がる形で暖湿気流は急激な上昇を始めます。暖かく湿った空気が上昇を始めるとどうなるか?激しい断熱膨張を起こして気温が下がり、空気中の水蒸気が一気に凝結して積乱雲が発達し、大雨を降らせるのです。



上の図は26日24時の関東地方のアメダス風向です。房総半島では全般的に南東風、東京都以西では北西風が吹き、東京湾上で二つの気流がぶつかっている様子がお分かりいただけると思います。気象用語でこれを「風の収束帯」と呼び、短時間強雨・雷・突風・降雹などのシビアな現象が発生しやすいポイントとして注目されます。


…と、言ってる傍から外で雷が鳴りました(笑。


以下は、船橋の26日のアメダスです。


時間  気温  降水量 風向  風速
---------------------------------------
22時  15.8  11.5  東    2
21時  15.2  12.0  東北東  2
20時  14.8  12.5  東北東  3
19時  14.5  12.0  東北東  3
18時  10.4  11.0  北北西  1
17時  9.1  10.0  北北西   2
16時  7.8  9.0   北西   3
15時  7.1  9.0   北西   3
14時  6.6  7.0   北北西  2
13時  5.9  5.5   北北西  2


18時は北北西の風・気温10.4℃だったのが、たった一時間後の19時には東北東の風・気温14.5℃に変わりました。この結果から見ても東からの暖湿気流の流入は明らかです。




…という訳で結論。


東からの暖湿気流と北寄りの冷たい気流が収束し、強い上昇気流場が発生して強い雨を降らせた。




うーん、天気っておもしれー!!


今晩はこんなとこで。


では、またノシ